徳島の来都市を考える


とある病院で、創業400年という老舗商店の会長とお会いした。

「今徳島の街は、とくしまマルシェが好評だったり、アニメイベントやLEDアートフェスティバルのイベントなどで賑やかになって、商店街も元気を取り戻しているんじゃありませんか?」

と問うと

「街が時たまでも、イベントによって人出でにぎあうのは、結構なことですが、それが店の売り上げに貢献しているわけではないんです。中心商店街でもたたんでいく店が少なくありません、淋しい限りです。中心商店街が発行していた日専連カードも組合の解散によって廃止されました。ゆめタウンなどの郊外型ショッピングセンターの影響も大きいし、デフレ不況のあおりを受けて徳島市の中心商店街は衰退する一方です。」

と言われた。つまりイベントは商店街の販売促進にはなっていないと言われる。

徳島の人口は減少の一途をたどっているし、しかも少子高齢化が進んでいるので商店街がシャッター街になっていくのも仕方がない現象で、これも時代の流れなのかもしれない。

商店街はその時代時代を映して自然発生的に発展して来るものだと言われるが、確かに都市は時代の風を受けて動いているなといった感がある。

ボードウォークが整備された当初のパラソルショップも不人気で次第に出店者も減り、パラパラしか店がないからパラソルショップと言うんだと揶揄された事もあった。

しかし新町川河岸が整備されるに従ってひょうたん島周遊船が民間ボランティアから運行されだし、徳島マルシェの盛況がある。

マルシェは実に良い。

NHKの世界街歩き番組で見る青果市場のしゃれた箱がやや斜めに置かれその箱に色とりどりの果物や野菜が山盛りされた陳列が気に入っていて、徳島の朝市にもこういうのがあればいいなぁと思っていた矢先にボードウォークに登場してびっくりした。

しかも多彩で新鮮で、焼たての海産物が味わえたりして実に楽しい。スーパーと比べて割高感はあるが、家内がキャベツがどうしても欲しいので、注文したら「売り切れです」と言う。

「そこにキャベツ半分残っているじゃない」

言うと

「これは残り物ですがお入りようなら差し上げます」

と言って、包んでくれて、ただで貰ったと大喜びしていた。

“ははぁんこれがスーパーとはひと味違う対人販売なのだな”

と納得した。

パラソルショップには徳島の特産品もおしゃれに展示されていて、これが月1回のイベントではもったいない。せめて毎日曜日にもできないかと思うのだ。

新町川河岸の開発が進展するに従って、良くも悪くも西新町再開発計画が具体化しだしたし、倉庫街だった万代中央埠頭も注目されだした。夜に花火を上げる結婚式場もあり、散歩をする人も多くなった。

新水上バスネットワーク創造事業なども検討されており、川の駅があちこちにできて、水上交通が発展し縦横無尽に運行するようになり、街はひょうたん島周辺に集積して、陸上バスと水上バスのコラボで流通と賑わい空間とがマッチした全国でも珍しい都市となるのではないかと期待するのである。

観光面で言えば空港から乗降客を水上バスで川沿いのホテルや新町川駅まで運行する案なんて良いアイデアだ。水上バス停を沢山作ればよい、県庁や新町橋、万代埠頭や末広の徳島産業会館前など作り通勤や買い物客や観光客が利用すれば、便利だし観光客も増えるのではないか。しかも徳島は吉野川河口に広がった平坦な平野の街であり坂が少なく歩きやすい。

徳島駅で汽車やバスの公共交通機関を降りて歩いても相当歩ける。バスやタクシーも規制緩和をして、料金ももう少し安くして時間や路線を限定することなく、あっちこっちを自由に走って手を挙げれば何処でも何時でも停車して乗降できるようなシステムにすれば、家庭にこもりがちな老人も外に出易いし買い物弱者も救えるのではないか。

バスももっと小型化し軽量で電気自動車にやり変えて乗合馬車のようなオープンな乗り物に変えればいい。郊外型大型店舗やコンビニ、ネット販売や通信販売など商店街を取り巻く環境は非常に厳しいが、60歳以上の高齢者が国民金融資産1,500兆円の8割を占めるというのだから高齢者がおしゃれして外に出るシステムさえ作れば、歩いて楽しい街となって買い物客は増えるのではないか。

商店も時好(時代の好み)にあった商品構成を考える必要があるように思われる。

現在の住宅事情は数年前と大きく変化している。ピカピカのキッチンシステムができ昔の暗くて、不衛生な台所がたちまちリビングと一体になって、オール電化、食洗機が供えられ食器棚もおしゃれになって、家の中心に据えられるようになった、料理番組は朝から晩までテレビで放送され、

“男子厨房に入るべからず”

と言われていたのが気軽に分担できるようになった。風呂もシステム化されたし、昔ご不浄と言われ、寒い板の間に座りウジ虫が這い上がる落ちくれ便所から、ドアを開けると勝手に便器のふたが開き、温水洗浄機や換気、底冷え装置や部屋暖房の機能まで供えたトイレに変身した。私の家で最近掃除ロボットを購入したがアナログ人間の家内は、ロボットの無秩序な動きに腹を立てる。

「このロボット目がついてるの、ゴミの所へ行かないじゃないの」

と追いかけ回すし、家具が邪魔しないようにあっちへ運んだりこっちへ持ってきたりしている。

これではロボットの意味をなさない。ロボットなのだから多少は不満が残るにしても放っておけば掃除はできているのだ。とにもかくにも生活がこれだけ変化しているのだから商店街も変化しなければならない。

政府は高齢者の金融資産に目をつけ孫への学資資金などは贈与税を免除する制度も考えているようだが、高齢者自身がお金を使う工夫が必要で大店舗が若者をターゲットにしているなら個人商店は高齢者が楽しく買い物できる環境を作るなど役割分担をする必要があるのではないかと思うのである。

高齢者が喜ぶ品揃えが大事だし、コミュニティ機能を取り戻すべきだ。このためには行政と民間が一体となって高齢者に優しいコンパクトな街づくりが必要なのではないかと思う。

こういった意味では徳島市が図書館を駅前のアミコビル移転したことも、西新町を再開発しようとしていることも、コンパクトの街づくりには必要で徳島県と一体になり県立美術館も移動美術館として街中の施設に貸し出すことができるような制度ができればよい。

又街中に気軽に碁や将棋ができたり、絵を描いたり、園芸教室やダンスができる施設、ビールやワインが安くてオープンに飲めるような利用しやすい大きなホ−ルのようなコミュニティ空間ができれば、人は集まってくるのではないかと思う。

地方都市が栄えるには、交通手段を整備し、途切れなくイベントがあって、子供から高齢者まで歩いて楽しくなる街づくりが必要なのではないだろうか。そういった面で徳島市は眉山と城山と吉野川の支流が縦横に流れる美しい街だ。アベノミクスで景気も上向きだというこのようなときに、自分の街の未来を考えるのも悪くはないなと思うのである。

    

(忠)


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