雑 感

サ ラ リ ー マ ン 哀 歌


<徳島市内の某公立病院脳神経外科診察室>

医者
 「時々視野が狭くなる現象は、脳梗塞の疑いがあります。この病気は一旦かかると現代医学では治癒は難しく、田中角栄元首相でも治らなかった厄介なものです。脳の血管が閉塞すると、その細胞は死滅し、不自由な体となります。本人だけでなく周囲の者まで大変な苦労をかけることになります。早期発見、早期治療が重要ですので、脳血管の精密検査が必要です。ただしこの病の患者は多く順番を待つためにも二週間の入院が必要です。」

患者A(某製紙会社課長57歳)
 「定年間際になり、糖尿病から腎臓を患い、あげく脳腫瘍の疑いで内科からこちらの病棟にまわされた。サラリーマンなんて侘しいものよ、こちらは会社に随分つくし、働き過ぎで病気になったと思っているが、会社は思わない、いや会社の上司が思わない、企業の評価は減点法だ、格好のリストラ対象になってしまった。本来俺の年齢なら重役になってもおかしくない。実際重役になってる奴もいる。しかし役付きに限って茶坊主よ。会社発展に役にたっているかといやぁそうじゃねえ。自分の失点を少なくして、上役にとりいる、理屈はこねるが会社の本質がわかってねえ。些事にこだわり、大事を見失うこれじゃ会社は発展しねぇや」

患者B(某自動車販売会社経理係長46歳)
 「そうですよねぇ、サラリーマンにとっての幸、不幸は、良い上司にめぐりあわすか、そうでないかによりますよねぇ、権限ばかりを振りかざし、責任をとらない、“君の思うとおり存分にいってみろ、責任は俺が取る”といえる人はいないのかと思いますねぇ。ほとんどが自己保身に汲々としている。」

患者A
 「会社が小さいときは、従業員と社長との距離は近く、情とか義理とかいったものがあって社長との交流もあった、しかし会社が大きくなって組織ができると、人を評価する人物がでてくる。こういう連中は、リストラと聞くと人事移動に永年総務を務めていた人を営業にやったり、営業の人間を倉庫にやったりして、会社に退職届がでるのを手柄にしているやからがいるんだよ。冗談じゃねぇよまったく、管理職には従業員一人ひとりに伸びるチャンスを与えなきゃなんねぇ、それでやる気がでて、実力をつけ、給料があがり家族がしあわせになる。そうすることが管理職の義務なんだよ、リストラってそういうもんじゃねぇのか」

患者B
 「まったくそのとおりですねぇ、リストラといえば人員整理だと勘違いしてる人がいますよねぇ、確かに余剰人員や余分な経費の削減も必要ですが、従業員のモラールなくしてのリストラなんてありませんよねぇ、本質を見失った上司が、些事ばかりいう会社、伸びませんよねぇ、しかしこの不況、結局サラリーマンは、諦めて、辛抱してストレスを抱え込んで、勤めにつくしかないのでしょうかねぇ」

(忠)