雑 感

マーケティングについて


 今マーケティングの本を読んでいるが、10ページ読んでは欠伸をし、5ページ読み進んでは、閉じるといった体たらくである。
 読破したわけではないのでしかとは言えないが、目標、分析、戦術、戦略の言葉が並んでいる。あまりにも総論過ぎる。我が家の事件がよほどマーケティングの的を射てる。
 我が家の事件とは、最近のテレビドラマの大ヒット作木村拓也と常盤貴子が好演したビューティフルライフにちなんだ訳ではないが、家内が近所の美容院に電話をしたことに始まる。
 家内は市内の幼稚園に勤めている。入園式前日のことである。仕事が忙しく、S美容院に電話をしたのは午後6時20分頃であった。初老も近づき白髪もちらほらし、カラー染めを申し込んだが、電話応対に出た若い美容師は、受付時間が迫っていることを理由に断った。しかし家内は行きつけであることから、名前を告げることは忘れなかった。
 そこで、駅ビルのF美容院に同じ申し込みをした。そこの応対は「受付終了時間は6時30分までとなっておりますが、お待ちしておりますので、お気をつけてゆっくりお越し下さい。」とのことで事なきを得た。
 ところが8時20分頃断られたS美容院から電話が入った。誠に恐縮した声である。家内はまだ帰っておらず応対に出た私に平謝りである。
 そのとき私は事情がよく飲み込めず、趣旨を伝えることで電話を切った。
 家内が帰宅してしばらくすると、9時10分頃玄関のチャイムが鳴り、ドアを開けると店長と思われる30歳代の男性と20歳前後の若い男性美容師2人が、洋菓子箱をもって立っていた。若い男性美容師は気の毒なほどしおれていたという。
 家内は得意満面である。お菓子を見せて「これ3000円はするわねえ、これじゃあ替われないわよねえ」と私や娘にいう。「私が、行かなくなったらお店は大損だもんねえ」とはしゃぎながら仏壇にまつった。
 これから家内は、3週間に1度は、やはりカラー染めに元のS美容院へ通うのであろう。競争の厳しい時代である。得意を逃がす危機感にさぞかし若い美容師は怒られたであろう。生き残るための誠意や工夫、対応がマーケティングを制するのではないかと思うのである。

(忠)