雑 感

主 張


1.災い転じて福となせ

 阪神大震災から一ヶ月を経過し、復興復旧作業が急ピッチで進められている。
 震災当時のテレビの映像で見た廃墟と化した市街、横倒しのハイウェイ、宙づりになった新幹線などの惨劇が脳裏に焼きついて離れない。
 しかし、ほとんど全ての被害者達は、みごとに連帯意識のもとに秩序をつくり、それを守って互いに助け合い、整然と苦難に立ち向かっているのを見るにつけ改めて相互扶助の精神や、連帯協調が人間生活にとっていかに大事なものか再認識された。
 外国ならたちまちパニックとなって商店は、略奪され暴動が起こっているだろう。当中央会が被災地に対し義援金を募ったところ、景気低迷の時期にかかわらず多くの組合から多額の義援金を拠出して頂き心より感謝を申し上げるところである。
 兵庫県は隣県であり、明石海峡大橋が開通すれば、本県との経済、文化、社会の交流は、さらに強い絆をもつであろうし、徳島にとって他のどの県よりも恩恵を浴する県となりうる地である。復興、復旧には全力をあげて協力しなければならない。
 徳島県にとってもこの震災は、少なからず影響を受けており、このなかでの会員のご厚意は必ず被災地を勇気づけ、善隣関係に役立つものと確信するものである。
 当中央会でも徳島県の中小企業経営における影響調査を行い又震災対策経営特別相談室を設け、影響を少しでも押さえるよう全力を上げているところであるが、未曾有の災害であり、社会資本の損壊、物流の停滞、生産力の低下は、本県にも様々な経営への傷害となっており、兵庫県との取引先も多く今後手形不渡り等による連鎖倒産なども予測される。
 しかし、マイナス面ばかりとは言えない、復興需要は本県中小企業にとってもプラス面がでてこよう。
 こういう時こそ組合の果たす役割は重要であり、各組合で何ができるか、何をなすべきかを早急に検討すべきであろう。
 協同、協力を重視する集団活動が機能してこそ創造的活動が推進され、経済が復興される。
 兵庫県が一刻も早く復興し、本県がその一端を担うことにより、両県が繁栄する。
 災い転じて福となすことを期待するものである。


2.新町地区商店街にエールをおくる

 新町地区商店街の核、しにせの丸新百貨店が激しい流通戦争に勝てず3月で閉店することになった。
 丸新は新町地区商店街の脅威であったものの、その集客力は新町地区に少なからず貢献をなしてきた。
 然しこの10数年ジャスコ、ニチイの郊外型ショッピングセンターの進出に続き昭和58年10月のJR徳島駅前のそごうアミコの開店や平成5年4月の徳島クレメントプラザは、徳島県の商業地図を大きく塗りかえることになった。
 駅前広場はJR・バス・タクシーの交通ターミナルとしての機能を享受し、徳島名店街、徳島シティ、ビブレ21などの大規模店舗の集積効果とあいまって一極集中を加速してきた。
 この間新町地区も手をこまねいてきた訳ではない。
 アミコに対抗するため、東新町1丁目を中心とした「新町ペンタゴン第一地区計画」と東大工町3丁目を中心とした「かごや町コア21」の大型の再開発計画である。
 ペンタゴンは西武百貨店、かごや町コアは都市型ホテルの誘致を目指してきたが、両計画はバブル崩壊と共に事実上挫折した。
 しかし、徳島市東船場地区の新町川南岸を「整備」するリバーサイドウォーク(川沿い散策路)は本年8月着工されることが、この程決まった。
 この計画は、水際公園対岸の新町橋から両国橋までの約350メートルに幅6〜6.5メートルに板張り散策路を設けて、東新町地区の新しい”顔”とするのがねらいである。
 またソフト面においても、新町ろくえもんの街角コンサートや東新町の夏は、ビールストリート、冬は「しんまち横町屋台村」などのイベント実施である。
 この屋台村は同商店街の女性30人でつくる「ひょうたん倶楽部」が企画運営をした。
 これはアーケード下での忘年会として焼鳥、おでん等の屋台が並び、ジャズコンサートや抽選会など多彩な催しを行ったもので、若者や家族連れで賑わい立錐の余地がないほど人を集めた。
 このほかにも、書籍、百円ショップ、駄菓子や和菓子屋、チーズケーキ店などの特化専門店の誘致にも取り組んできた。
 しかし、これだけで地盤沈下に歯止めをかけることは難しいだろう、だとすれば新町地区商店街は、あらゆる手段を用いて活力ある商店街を取り戻さなければならない。
 阪神大震災一ヶ月後の三宮や元町では商店街が復興の先駆けとなって、災害の爪あとを残す瓦礫の前や路上で商売をはじめ、肩がぶつかるまでの人込みを作り出している。
 自分たちが頑張らねばとの気迫と消費者の嬉々とした表情がそこには写しだされている。
 戦後の闇市も商人達がリーダー産業となって復興してきたのではなかったか。
 そこで提案であるが、ハード面についてはバブル崩壊後箱物再開発は難しい、歩いて楽しい街づくりは、大型資本を入れなくても空地、空家を利用したり、商店街に建築協定を結び個々で対応する方法も検討すべきである。
 例えば街のイメージに沿った各店舗のファサードを統一することも一つの方法であろう。
 またソフト面においては、第一にイベントを一過性に終わらせず、回数を増やし土、日曜はなにか楽しい催しがあるようにしたい。
 第二に多機能の複合カード(ポイント・クレジット・プリペイド等)の発行である、専門店会との競合問題もあり、過去の苦い失敗例はあるとしても、新町地区をイメージアップとイベントを加味した付加価値のあるカードづくりも必要ではないか。
 第三は、不足業種の誘致である、空地、空屋に実験的に商店街が家賃を負担してでも、バラエティに富んだ特化型専門店を誘致することである。
 第四は営業時間の延長である、これは以前からの課題ではあったことだが、前記の夜型の専門店の誘致とも併せ是非実施してほしいものである。
 新町地区8商店街振興組合が合同して上記事業を実施すれば、消費者の回遊性が高まるのではないかと提唱するものである。
 いずれにしても、活力溢れる商店街にするためには地域商店街の自助努力が肝要であり、自助努力があってこそ行政の支援が得られるのである。
 かって多くの県民は、新町にいくことに心を躍らせた、新町を言う言葉は特別の響きをもって消費者のこころを揺さぶった。
 それは、しゃれた人の行き来のある夢の空間であったように思われる。
 活力ある商店街が甦ることを期待する。

(忠)