(3)組合員の加入の是非について
Question
私は仕出し屋を営む者で、同業者で構成している事業協同組合にも加入しております。
今月の組合報を見ていましたら、私の店の近所に昨年出店したばかりのA商事が、組合への加入を承諾された旨を知りました。
私のところはA商事とはいわば商売敵で、最新の調理機器を備えたA商事のために、昨年の売上はかなり減っております。また今後、A商事の加入のためにこれまでの組合の共同受注の割当ても減ることになるのではないかと危惧しております。
組合がこのような利害関係にある私に何の相談もなくA商事の加入を承諾したことは甚だ遺憾であり、組合の今回の決定の白紙撤回を求めたいのですが、可能でしょうか。
Answer
お話によりますと所属されている組合では組合員の加入については理事会で意志決定されておるように推察されます。
中小企業等協同組合法では第54条において総会について商法第252条(決議の不存在確認・無効確認の訴え)を準用しており、総会決議の効力を争うことができることとされていますが、理事会についての同様の準用規定がありません。
しかし組合員の加入のように、組合の意志決定が常に総会の議決によらなければならないというものでなく、その権限が理事会に委ねられている場合には、商法第252条を類推適用し、理事会の決議の無効確認を求めることは可能であると思われます。
さて組合法第14条では、組合は正当な理由がないのに組合員たる資格を有する者からする加入申込みを拒んではならない旨を規定しています。
つまり資格を有する者に対してはその者が希望をすれば組合に加入して組合の事業の恩恵を受けることができるということです。
ここでの加入申込みを拒否しうる正当な理由とは、
・加入申込者の規模が大きく、これを加入させれば組合の民主的運営が阻害され、あるいは私的
独占禁止の適用を受けるおそれがある場合
・除名された組合員がただちに加入申込みをしてきた場合
・加入申込み前に員外者として組合の活動を妨害していた場合
・その加入により組合の信用が著しく低下するおそれがある場合
・共同施設の稼働能力が現在の組合員のみでも不足がちである等、組合員の増加により組合事業
の円滑な運営が不可能となる場合
等に限られると解されています。
したがって、本事例の場合、単に受注配分が減るというだけでは、加入申込みを拒否し得る正当な理由とは言い難いと考えます。(89-3-1)