(12)出資1口の金額の増資分を納入しない組合員の権利
Question
私どもの組合では、先般の総会で全組合員出席のもと組合定款中の「出資1口の金額は、1万円とする。」とあるのを、「出資1口の金額は、10万円とする。」と満場一致で変更の決議を致しました。
また、組合定款上全額一時払込み制をとっているため、増額分の払込みの期日についても決議しました。しかし、払込みの期限後未だ増額分を納入しない組合員がおります。その組合員は、組合員としての権利を行使できるのでしょうか。
また、組合としてその組合員にはどのように対処すべきですか。
Answer
組合定款を変更して出資1口の金額を増額するにあたって増額分の追出資が必要となった組合員は、増額分の出資払込み義務を負うことになります。
また、組合定款には全額一時払込みと規定してあることから、払込み期間内に増額分を払い込まない組合員は、組合に対しての履行遅滞になりますが、組合員たる地位を失うものではないと解されます。
したがって、未払込みの者も組合員としての権利(議決権、選挙権、共同事業利用権及びその他の組合員権)を行使することは何等妨げられないと解されます。
増資分未払込みの者に対する措置としては、組合に対する出資払込み義務を怠った組合員ということで除名(中小企業等協同組合法第19条第2項2)する方法があります。
この方法は、総会における特別議決によらなければなりません。
しかも組合は、事前に除名しようとする者に対して除名理由及び総会において弁明すべき旨の通知をすることを要します。
もうひとつの措置として、組合との契約上の自治的規制として、定款に定めれば過怠金、延滞金等をその組合員に課することができます。組合としては、既存組合員の地位を喪失しないような方法をとることが望ましいと考えます。(88-11-2)