(3)組合員の対外的責任について
Question
私は砂利採取業を営む者によって組織されている事業協同組合の組合員です。
先日、組合の得意先であるAさんが私のところに来て組合の理事長名義で振り出された持参人払式の小切手を見せ、組合で支払いを拒絶されたので、組合員が連帯して支払ってほしい旨言われました。支払義務があるのでしょうか。
Answer
組合員が組合との関係で負うべき責任については、中小企業等協同組合法第10条第5項に「組合員の責任は、その出資額を限度とする。」と規定されています。
これは、組合員の責任について、無限責任ではなく組合員の出資額を限度とする有限責任である旨を明らかにしています。
つまり、組合がいかなる債務を被った場合でも、組合員は組合に対して払い込んだ出資額以上の責任は負わないというものです。
ところで、「組合員の責任」とは組合に対する責任であって、直接に組合の債権者に対してはその責任を有しないと考えられます。
これは、組合は組合員を構成員とする社団ではありますが、組合員とは別個の独立した人格体として取引の当事者になりうる権利義務を有しており、その取引によって生じた債権債務関係は、組合とその取引先という当事者間にのみ存在することとなるからです。
つまり、取引先である相手方は組合に対してだけ債務の履行(支払い)を請求することができ、その組合員に直接その請求をすることはできません。
従って、貴社は組合の得意先であるAさんに支払う義務はありませんが、個人的に組合の債務保証をしている場合は、保証人としてその責任を負わなければならないことは言うまでもありません。(89-9-1)