(11)員外理事の資格について(2)

Question

この度の役員選挙で、合資会社の有限責任社員であるA氏から理事選挙に立候補したい旨の通知がありました。A氏は、組合事業にも精通し、他の組合員からも信頼された人物なので理事として積極的活動をお願いしたいところですが、組合員の一部から、A氏に理事となる資格はないのではないかとの意見がありました。
その理由は、組合の定款では「員外理事」を認めていない規定になっているので、「法人の役員」でないA氏にはその資格がないから定款違反になるとのことです。
どのように解釈すればよいのでしょうかご教示下さい。

Answer

組合法でいう「組合員たる法人の役員」とは、その法人において、その業務執行、業務・会計の監査などの権限を持つ者と解されます。つまり、物的会社の取締役・監査役、人的会社の業務執行社員などがこれにあたります。
人的会社である合資会社では、「無限責任社員」が原則として会社の業務執行及び会社代表の権限を有する(商法第151条第76条)のに対し、「有限責任社員」は、経済的には無限責任社員の経営する事業に対して資本的関係においてのみ参与し、その事業より生ずる利益の分配にあずかるにすぎないものであるとされ、業務執行及び会社代表の権限を有しないものとされています(商法第156条)。
しかし、実際には合資会社の定款の規定をもって有限責任社員に対内関係における業務執行権を与えるケースがみられ、通説・判例もこれを支持しています。
このようなことから、A氏が組合役員になるには、当該合資会社の定款によって業務執行権を認められた有限責任社員となるか、そうでなければ組合の定款を「員外理事」を認める形に変更することが必要となります。(90-10)

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