(17)役員選任制の運用
Question
当組合は、役員の選出を「選任制」の方法で行うこととしておりますが、次の点についてご教示ください。
1.推薦会議への推薦委員の委任状(代理)出席は、可能ですか。また、書面による出席は
どうですか。
2.推薦会議で決定した役員候補者を理事会で修正または拒否することができますか。
Answer
組合役員の選出方法には、大きく分けて、「選挙」による方法(例外として、指名推薦の方法を含む。以下「選挙制」という)と、「選任」による方法(以下「選任制」という)の2つの方法があります。
「選任制」は、役員を総会の議決(多数決)によって選出するもので、あらかじめ一定の手続により選定した役員候補者を、一つの議案として総会に提出し、これに対する賛否を問う方法です。
選任制は、選挙制を採ることが総会運営上問題を生じがちな、組合員数の多い大規模の組合で採用する場合に意味のある制度ですが、概ね次の手順に従って行うよう指導されています(昭和55年9月2日付55企庁第1324号中小企業庁指導部長通達「中小企業等協同組合法等の一部を改正する法律の施行に伴う運用について」参照)。
(1)推薦委員の選出
(2)推薦会議の招集
(3)推薦会議の開催・役員候補者の決定
(4)役員候補者の承諾
(5)役員候補者を理事長に推薦
(6)理事会の開催(役員選任に関する議案の決定)
(7)総会開催通知(役員候補者名簿の送付)
(8)総会(役員の選任)
それでは、ご質問について考えてみましょう。
1.推薦委員は、その人格に重きをおいて、地域、業種、規模等から組合員によって選出され、
役員候補者の決定を委任されたものです。
このような推薦委員の性格上、その職務行為を他人に委任することはできません。また、
推薦会議への書面による出席についても、推薦委員の職務は、役員候補者を選定するという、
いわば原案そのものの作成に参画するということにあるわけですから、あくまでも推薦会議に
実際に出席するのでなければその職務は果たしえず、したがって、書面による出席も認められ
ておりません。
2.選任制においては、役員候補者の選定は、理事会が行うのではなく、地域、業種、規模等各
組合の実態に即して定められた選出母体ごとに組合員の中から選ばれた、推薦委員をもって構
成する推薦会議において行うことになっており、理事会は、推薦会議において選定されたとこ
ろにしたがって役員候補者名簿を作成し、総会提出議案として決定することになっています。
これは、選任制が選挙制に比べて、組合の民主的運営という点においてやや欠ける面があり、
その運用を誤ると組合運営がボス的支配に陥る危険性もあることから、役員候補者の選定に組
合員の意向を反映できるよう配慮したものです。
このようなことから、推薦会議で決定した原案を理事会において修正したり、拒否したりす
ることができることになると、実質的に理事会が役員候補者を決定することになり、推薦会議
まで設けて民主制を担保しようとした趣旨が失われることになります。
したがって、推薦会議で決定した役員候補者を理事会において修正又は拒否することは許さ
れません。
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