(3)組織変更の際の事業要件について
Question
事業協同組合から協業組合に組織変更が認められているが、組織変更の場合は、新規設立より協業対象事業の要件が緩やかと聞いている。これを具体的に説明されたい。
Answer
協業組合への組織変更については、中団法第95条に規定されており中協法第9条の2第1項第1号の事業を行っている事業協同組合は、組織変更によって協業組合になることができることとなっている。また、この場合、事業協同組合が行っている上記第1号の事業は、主務大臣が定めるものに限って、協業組合の協業対象事業とみなされることとなっている。この主務大臣が定めるものについては、関係主務大臣連盟の通達(昭42・10・12)が出ており、前記第1号の事業のうち、協定等の調整事業だけが除外されている。
したがって、価格協定などの調整事業を除いて、他の第1号事業のすべて、例えば、共同生産(加工)、共同販売、共同購買等組合員事業の主要部分の共同事業に限らず、共同保管、共同運送、あるいは事務代行、共同宣伝等の販路開拓事業などを行っていても、協業組合への組織変更が可能であり、それがそれぞれ協業対象事業とみなされることになる。
しかし、調査事業を除いて、第1号事業であればいかなる事業を行っていても、組織変更が認められるかというと、協業組合になるためには、その事業が、技術の向上、品質の改善、原価の引き下げ、能率の増進等生産性の向上に寄与するものであることが必要とされているので、この要件に適合するものでなければならない。
この点、新設の場合の要件と同じとも受けとれるが、例えば織物業者が現在自分たちが実施していない染色の事業を共同して行いたい場合に、協同組合ならば行うことができるが、新設である限り協業組合では実施できないことになる。しかし、既に協同組合で染色事業を行っていれば、染色事業が協業の対象事業とみなされ、協業組合になることによって染色事業の生産性向上が図られると認められれば、協業組合に組織変更ができるわけであるから、この点からは、新設の場合よりも組織変更による方が、協業組合になることができる要件が緩やかといえるであろう。