2.規約と規程の区別

 一般に規約・規程といった用語はかなり混同して用いられ、その意味するところも必ずしも同一でない場合が多い。実際には規程とすべきものを規約としたり、規約とすべきものを規程としたりしていることが多い。
 法律上、規約及び規程を区別して使用する理由は、次項に述べるように、規約については、それが総会の議決事項になっている点にある。すなわち、それが規約であるならば法律上必ず総会の議決を経て設定しなければならないし、もしもそれが規約でないならば、その設定は理事会において行ってもよいことになるからである。
 規約とすべき次項については、法律上では、次の5項目を規定している。(中協法第34条、中団法第5条の23第3項、第44条)
(1)総会又は総代会に関する規定
(2)業務の執行及び会計に関する規定
(3)役員に関する規定
(4)組合員に関する規定
(5)その他必要な事項
 組合の根本規則たる定款は、総会の特別議決によるとともに所管行政庁の認可を受ける必要があるが、規約については行政庁の認可を必要としない。規約の内容はあくまでも定款で定められた基本的事項を具体的に実施するための基準ということになる。したがって、規約の設定及び改廃は、組合の業務執行の一つとして、本来的には組合の運営を委任された理事会等が責任をもって行うべきものであるといえるが、しかし、基本的な方針が定款に定められているとはいえ、なおその規定の内容が、組合員の権利義務に関し直接大きな影響を及ぼすような事項については、組合の民主的運営という面からいって、できるだけ組合員の総意のもとに決定運用されるべきであり、その点から法律では規約の設定を、総会の議決事項としているのである。
 すなわち、規約とは、定款同様に組合員を拘束するものであり、換言すれば、組合員を直接拘束するような事項について規定するものを、規約とすべきである。
 このような規約について、なお規定の文字を使用する例も多いが、紛らわしい用語法はできるだけ避けるのが望ましい。したがって、前述のように「業務の執行及び会計に関する事項」のうちでも、例えば組合事務局の職制、職員の就業規則等に関するものについては、規約とせずに規程として取扱い、これを理事会で決定しても何ら差し支えない。
〔規約・規程の異議〕
規 約
規約とは、組合の業務運営及び事務執行に関して、組合員間を規律する自治規範をいい、その設定、変更及び廃止には総会又は総代会の普通議決を必要とする。
規 程
規程とは、組合の事務執行上に必要な関係を規律するものであって直接組合員の権利義務に影響を及ぼすことのない事項に関する内規をいい、その設定、変更及び廃止は理事会で行う。

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